出来るだけ避けるべき遺言の内容

紅白ボール

遺言はご自身の最終意思を明確にし、それが確実に実現出来るものでなければ意味がありません。遺言者は相続人が紛争しないことを望んで遺言を作成しているはずです。

したがって、後に相続人間で紛争となる可能性がある遺言は法的には許されていても、出来るだけ避けるべきであると考えます。

以下の内容の遺言をする場合には、特別の注意を要します。

1 相続分の指定をする遺言

これは以前の記事でもあるように、各相続人の相続分の割合だけの指定なので実際に誰がどの財産を取得するのか紛争となる可能性があります。

2 兄弟姉妹で不動産を共有とする遺言

兄弟姉妹の1人がその不動産に居住や利用をしている場合、将来的に他の兄弟姉妹やその相続人と不動産の分割について紛争となる可能性があります。不動産は簡単に分割が出来ない財産です。

3 一部の財産のみを記載した遺言

当然ながら、記載されていない財産について紛争となる可能性があります。この紛争を避けるためには、分かっている財産については遺産分割方法の指定で誰が取得するのかを明確にしておくことと、遺言後に財産が増えた場合や抜けていたものを補足するため、「その余の遺言者の所有する預貯金、現金その他財産は、全て長男○○に相続させる」など記載しておくのが良いでしょう。

アクト司法書士事務所では、遺言に関する無料相談をおこなっておりますので、お気軽にご相談ください。

 

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千葉県船橋市西船4-22-2-502(西船橋駅より徒歩1分)

TEL 047-434-1456(9:00~20:00)

司法書士 鎌手博哉

相談事例6 お墓は誰が相続するのか

桶と柄杓祖先を祭るために使用されるお墓、仏壇、家系図などは祭祀財産といいます。この祭祀財産を守る人を祭祀主宰者と呼びます。祭祀財産は相続財産とは別の問題となり、相続分によって相続されません。

民法では、慣習に従って祭祀主宰者が祭祀財産を承継するとしています。ただし、遺言によって祭祀主宰者が指定されていれば、その方が祭祀財産を承継すると定められていますので、お墓を守っていく方を指定したい場合には遺言を活用することになります。

遺言で指定されていなく、慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が祭祀主宰者を定めます。

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相談事例5 遺言の内容を変更したい

ひまわり

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる(民法1022条)とされています。

したがって、公正証書遺言であっても、自筆証書遺言で内容の変更、撤回をすることができますし、その逆も可能です。

遺言作成時とは心境が変わったり、資産状況が大きく変わってしまった場合は、作成し直した方が良いと思われます。

自筆証書遺言であれば、遺言の変更が一部であっても、その遺言書を破棄して新たに作り直すのが良いでしょう。古い遺言書の破棄をせず、一部の変更のみを新たな遺言書で指定することも可能ですが、撤回や変更の箇所を正確に指定しておかないと、その解釈で遺言者の意図が不明となるリスクがあります。

公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されていますので、手元にある正本、謄本を破棄しただけでは、遺言の撤回をすることができません。公証役場にて遺言の全部又は一部の撤回をするか、「平成○年○月○日付で作成した遺言を撤回する」との内容で新たな遺言を作成しなければなりません。前述のとおり、自筆証書遺言でも撤回は可能ですが、公正証書遺言を作り直すことをおすすめします。

遺言書が2通以上ある場合は、一番最後の日付で作成された遺言の内容が優先されます。それ以前に作成された遺言で、後に作成された遺言と矛盾のある部分は撤回されたものとみなされます(民法1023条)。

解釈に問題がでないよう、出来る限り1通のみが残るようにしておくのが良いでしょう。

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遺言執行者の選任が必須なケース

水溜り

遺言執行者の選任はどんな場合でも必要と言うわけではありません。

例えば、「相続人Aに甲不動産を相続させる」といった遺言では、Aが単独で、甲不動産の相続による所有権移転登記ができます。

また、「知人Bに乙不動産を遺贈する」といった遺言では、Bと相続人全員が共同して、乙不動産の遺贈による所有権移転登記ができます。しかし、共同相続人が協力してくれない場合などがあるため、遺贈の場合は遺言執行者を選任しておく方が良いでしょう。

遺言執行者の選任が必須となるケースは次の2点です。

  1. 子供を認知する(民法第781条2項、戸籍法第64条)
  2. 相続人の排除または排除の取消しをする(民法第893条、894条)

これらの場合に遺言書で遺言執行者が選任されていない場合は、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立をしなければなりません。

遺言執行者は、認知では就任の日から10日以内に認知の届出を役所にし、相続人の廃除又は排除の取消しでは就任後遅滞なく家庭裁判所に審判の請求をします。

これらの行為は、相続人が増減し他の相続人と利害が対立するため、必ず遺言執行者が行うように法で定められています。

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